2020年は5G元年といわれており、2010年に登場した4Gから10年ぶりに通信技術が大きく飛躍する年と言われています。
そこで5Gの特徴や仕組み、そして5Gになると何ができるようになるのか、主に我々の身近な存在であるスマートフォンを中心にわかりやすく解説していきたいと思います。
5Gとは?
そもそも5Gとはいったい何なのか?
10年前に4Gという言葉が飛び交っていたのを記憶している人も多いかと思いますが、この4G、5Gといった言葉は携帯電話など通信技術に用いられる次世代通信規格のことで5Gは「5th Generation」の略称で「第5世代移動通信システム」という意味になります。
大きくわけると「高速大容量」、「高信頼・低遅延通信」、「多数同時接続」という3つの特徴を持っている。
5Gの特徴
では5Gの特徴である「高速大容量」、「高信頼・低遅延通信」、「多数同時接続」について詳しく解説していきます。
特徴その①「高速大容量」
まずは「高速大容量」についてですが、これは読んで字のごとく大きなサイズのデータは高速で通信が可能ですよということですね。
特にデータ容量の大きい動画という分野において大きく効果が発揮されるとされています。
4Kや8Kといいた高画質・高精度な動画の通信が可能になり、ライブ配信などがよりスムーズにストレスなく、しかも高画質で配信、あるいは視聴することが可能になります。
スマートフォンでも動画を見ることが当たり前になっていますが、今まで以上に高画質な動画をスムーズに視聴できるようになるということですね。
動画視聴サービスなどを利用している人も多いと思いますが、5Gでは2時間の映画を数秒でダウンロードすることが可能になるとされています。
また、大容量のデータの通信が必要な遠隔医療やAI技術との連携も期待されています。
特徴その②「高信頼・低遅延通信」
次に「高信頼・低遅延通信」ですが通信の信頼度を高め遅延を少なくする技術。
信頼度が上がり遅延が少なくなれば遠隔医療の分野や車や機械などの自動運転に大きな活用が期待されます。
その他、危険な作業を伴う場合の遠隔ロボットの操作、セキュリティシステムなど様々な分野でその技術の応用がなされるでしょう。
スマートフォンでいえば動画視聴時の遅延がなくなりよりリアルタイムに映像を閲覧することが出来るといった感じでしょうか。
また、オンラインゲームでも遅延が少なくなりスムーズ楽しめるようになるとのこと。
特徴その③「多数同時接続」
最後の「多数同時接続」は同時に多数のデバイスを接続し、さらに通信の制度や速度も維持できるといった技術。
例えば、これまでは自宅でPCやスマートフォンなど数個程度の接続だったものが、5Gにより100個程度の機器やセンサーを同時にネットに接続することができるようになるといいた感じです。
つまりストレスなく通信ができるデバイスの同時接続数が飛躍的に多くなるということです。
通信の混雑が軽減され、速度などにも影響が出やすかった問題を改善できるのではないでしょうか。
4Gとの違いは?5Gにんるとどう変わるのかを比較してみた
2010年に普及した4Gですがそれまでの3Gに比べ通信速度が飛躍的に向上しスマートフォンの普及に大きな影響を与えたのはまぎれもない事実です。
そそいて2020年から始まる5Gですが、4Gが「スマートフォンのためのモバイルネットワーク技術」とすると、5Gは「社会を支えるモバイルネットワーク技術」といわれています。
正直なところスマートフォンというデバイスに限って言えば、4Gでも十分だという意見もあり、通信速度などが少しよくなったかなというぐらいの実感しかないかもしれません。
5Gの一番のポイントは通信に関わるビジネスにおいて大きな飛躍となるということ。
スマートフォンなどで実感として身近なところではなかなか感じることがないかもしれませんが、5Gによって生まれる技術を使用した商品やサービスがこれからどんどんと出てくる可能性は大いにあります。
4Gと5Gの違いを「通信速度」「遅延速度」「同時接続数」それぞれ比較した表です。
5G | 4G | |
通信速度 | 最大20Gbps | 最大1Gbps |
遅延速度 | 1ms | 10ms |
同時接続数 | 100万台/㎢ | 10万台/㎢ |
「通信速度」では約20倍、「遅延速度」は約10分の1に、「同時接続数」は約10倍と4Gに比べていずれも飛躍的な効果が期待できるとされています。
5G時代で期待できること
では5Gが普及することで一体何が出来るようになるのか、あるいはどれだけ便利になるのかを紹介していきます。
5Gのデメリットと問題点
5Gはまだまだ導入されたばかりでデメリットや問題点も多くあるといわれています。
しかし、何か新しいことが始まる時にはいつでも問題点はつきものですね。
安定・定着していくことでデメリットや問題点も少しづつ解決されていくと思います。
ここでは現在5G導入前におけるデメリットや問題点をいくつか紹介していきます。
携帯電話・スマートフォン各キャリア会社の5Gサービス
5Gの導入にあたり2019年に総務省が特定基地局開設の申請を受け付けを開始した。
特定基地局とは電波法で定められた特定の周波数を使用する基地局のことで 総務省に認可されれば日本全国に設置できる。
そしてこの申請を行ったのがNTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの4社で、利用者数や基地局が置かれている比率など様々な項目を基に審査され、以下の割り当てとなった。
周波数 | 基盤展開率 | サービス開始時期 | |
NTTドコモ | 3600〜3700MHz 4500〜4600MHz 27.4〜27.8GHz |
97.0% | 2020年春 |
KDDI(au) | 3700〜3800MHz 4000〜4100MHz 27.8〜28.2GHz |
93.2% | 2020年3月 |
ソフトバンク | 3900〜4000MHz 29.1〜29.5GHz |
64.0% | 2020年3月下旬 |
楽天モバイル | 3800〜3900MHz 27.0〜27.4GHz |
56.1% | 2020年6月頃 |
世界ではすでに導入済みの5Gサービス
2020年の春ごろから導入された5Gのサービスですが、実は世界ではもっと以前に導入している国があります。
アメリカでは2019年4月にベライゾン・コミュニケーションズがイリノイ州シカゴとミネソタ州ミネアポリスで5Gサービスを開始、そして韓国でもアメリカとほぼ同時期にサービスを開始、さらに中国やヨーロッパでもサービスを開始している。
通信システムの歴史1G~5G
日本では2020年に5Gサービスが開始されますが、それまでの1G~4Gまでの歴史を見てみましょう。
その歴史は携帯電話・スマートフォンの普及と深く関係しています。
1G アナログ通信時代 携帯電話の普及
1Gが普及したのは1980年代。1985年にポータブル電話機ショルダーホンが登場し、1987年には携帯電話が登場。
1Gは、音声を電波に乗る信号に変換して通信するアナログ方式のため、機能は音声通話のみ。通信品質や通信距離にも課題があったため、デジタル方式への開発が進んでいった。
2G デジタル通信時代 インターネットやメールが可能に
1990年代には通信方式はアナログからデジタルへと変わり2Gが普及。デジタルへと変わり携帯電話でのデータ通信が容易になり、メールの利用やインターネット回線への接続が可能になった。
NTTドコモが1999年に発売した「iモード」を中心に携帯電話でのデータ通信を利用した様々なサービスが登場。これによりデータ通信速度の向上の必要性が重要となっていった。
3G 高速通信時代 初の国際標準の移動通信システム
2000年代には3Gが普及し、データ通信速度が大幅にアップした。2008年にはソフトバンクが「iPhone 3G」を発売し、スマホ時代の幕開けとなった。これにより、高速大容量通信へのニーズが高まっていった。
また、日本の携帯電話を海外でも使えるようになったのはこの頃。
4G 超高速通信時代 スマートフォンの普及
2010年代に普及した4Gはスマートフォンの普及を加速させより大容量かつ超高速でのデータ通信が可能に。これによりスマートフォンでの動画視聴やモバイルゲームなどが可能になっていく。
5G IoT時代の基盤となり社会が大きく変わっていく
2020年代に普及していく5Gは携帯電話やスマートフォンという枠を超えて、あらゆるものがインターネットに繋がるIoT時代を迎えさまざまなサービスやビジネスでの活用が期待されています。